母子生活支援施設
母子生活支援施設は、児童福祉法に基づく、児童福祉施設の1つで、配偶者がいない女子またはこれに準ずる事情にある女子と、その子供(18歳未満)を入所させ、保護および自立促進のために生活を支援することを目的とした施設である。
自宅や民間アパートなどで生活することが困難な母子に生活の場を提供する。
各地にある福祉事務所が入所措置を行うが、さまざまな生活上の理由で、子供の養育が十分に行えない母親のために、経済的事情にかかわらず生活の場を提供し、母子の自立を精神面、生活面の双方から支援している。
現在、入所理由としては、離婚直後で生活の基盤を失ってしまった、未婚で出産し就労できない、または夫が行方不明や夫と離婚をした、さらには突然の死別などが多いが、このほか多岐にわたる理由で母子世帯がこの施設に入所してくる。
これら入所理由をみても、母子生活支援施設の入所者は母子世帯に移行する過程で、多くの問題をかかえていることがわかる。
経済的な困窮に加えて、離別世帯の場合は夫の暴力、ギャンブル、サラ金などによる精神的不安定や、母性の未熟などに伴う健康状態の悪化など、母親も子供も複数の問題をかかえていることがある。
また近年の傾向としては、情緒的、精神的障害をもつ人、アルコールまたは薬物依存などで社会生活不適応になる世帯の入所も増えている。
施設では、こういった母子の精神的ケアや援助を施しており、十分な養育ができるよう配慮されている。
また、母子生活支援施設は、児童福祉法に基づいて、児童が18歳になると退所しなければならない決まりになっている。
したがって、それまでに母子ともにしっかりと自立できるように、職員ができるかぎりの協力と援助をもって接しなければならない。
施設の設備は、児童福祉施設最低規準により、1世帯に1室以上の母子室のほか、集会・学習を行う部屋、炊事場などを設けることになっている。
さらに、乳児または幼児の入所時に付近に保育所などがない場合は保育所に準ずる施設を、なおかつ乳児または幼児の人数によって静養室および医務室を設けることが規定されている。
母子生活支援施設の仕事の内容
母子生活支援施設には、寮長、母子指導員、少年指導員、保育士、調理員などが働いている。
基本的には、仕事の役割は分かれているが、実際には、1施設の職員が10人に満たない場合が多く、職員が互いに役割を理解し、ときには協力しあっていくことが必要になってくる。
具体的な職員配置は以下のとおり。
寮長1人、母子指導員は定員20世帯未満の施設で1人、定員20世帯以上の施設で2人。
少年指導員兼事務員は母子指導員に同じ。
保育士は保育設備のある場合、30人に1人、ただし、1ヶ所の母子生活支援施設に最低1人は配置しなければならない。
調理員、嘱託医は各1人。
母子指導員は、育児、健康、生活設計、就労など、家族の問題について相談、援助を行う。
少年指導員は、学習や遊び、日常生活の指導、援助をとおして、学童の心身の健全な育成を図る。
保育士は、施設内の乳児または幼児の保育を中心として、病児保育や延長保育といった外部から子供を受け入れる補助的な保育も行っている。
前述したようにさまざまな理由で入所してくる家庭世帯の質的変化や、多様化したニーズに応えるため、これらいずれの職員たちにも、母親、児童双方の援助・指導に対して、高度な専門性が求められている。
母子生活支援施設の施設数
第2次世界大戦後、戦災母子あるいは引き揚げ母子の発生を背景に困窮した母子家庭は急激に増加し、それに伴って母子生活支援施設も急激に増設された。
しかし、1959年の654施設をピークに年々減少し、93年には、当時の半分以下の315施設となった。
母子生活支援施設は、近年ではドメスティックバイオレンスなどからの避難所的な意味合いも生じた。
現在、全回に288ヶ所設置されており、施設従事者1855人となっているが、施設自体は今後も減少の傾向にある。
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