乳児院
乳児院は、児童福祉法に基づく児童福祉施設の一つで、養育する保護者がいないなど、さまざまな事情によって、家庭で養育できない0歳から1歳までの乳児を入所させ(法律改正により、2歳未満まで拡大)、養育することを目的としている。
いわば、前述した児童養護施設の赤ちゃん版といえる施設である。
これらの乳児の入所措置は、都道府県の知事の委任を受けた児童相談所長が親権者の同意を得て行う。
なお、必要に応じて、その後も引き続き施設養護が必要な場合は、児童養護施設に措置変更されて養育が行われる。
入所理由は、母親の疾病、知的障害などによる長期入院、虐待や養育拒否など養育不能な場合、父母の死亡、別居、離婚、家出、サラ金などによる家庭崩壊の場合、そのほか、未婚の母親の子供、置き去り、捨て子など、その家庭環境も子供たち一人ひとりによって違いがあり、多様化・複雑化する傾向にある。
なお施設は、児童福祉施設最低基準により、寝室、観察室、病室、ほふく室(ハイハイができる部屋)、日光浴室(ほふく室との兼用可能)、調理室、便所を設けることとなっている。
乳児院の仕事の内容
乳児院で直接養育援助業務にあたるのは保育士、医師、看護師などで、そのほかに施設長、栄養士、調理員、事務員たちが働いている。
また、定員50人以上の施設では薬剤師、放射線技師(いずれも嘱託)が配置されることもある。
施設長以下、具体的な職員配置は次のとおり。
- (1)すべての施設で施設長1人をおく、看護師は定員1.7人に対して1人をおく。
- (2)定員20人以上の施設はこれ以外に1人を加える。ただし、現状では看護師の採用が困難であり、定員の3分の2は保育士(または児童指導員)として採用可。
- (3)定員30人未満の施設は調理員4人をおく。
- (4)30人以上は10人ごとに1人を加算、また栄養士を1人、医師1人をおく。
- (5)定員100人以下は嘱託医でも可、
- (6)定員100人未満は事務員1人、定員100人以上は2人おく。
乳児は、これら職員の保育なしには生活をすることができない。
したがって、施設内は常に24時間体制で子供の生活を支えることになる。
具体的な仕事内容としては、精神発達の観察・指導、食事、入浴、おむつ交換、日光浴、健康診断などを行っている。
入所した乳児は、短い場合は数日間預かるだけのこともあるが、長い場合は1〜2年、施設で生活することもある。
乳児は一般児童より疾病に対する抵抗力が弱く、また昼夜を通じて同じように養護する必要があるので、特に医学的管理を重視して医師および看護師を中心とする人員が配置され、その健康管理や事故防止には特に配慮がなされている。
また栄養士、調理員らによって、ミルクを飲む時期が過ぎた子供への離乳食や幼児食の食事管理が必要になってくる。
また、最近の福祉制度改革のなかでの乳児院の役割としては、
地域の子育て支援センターとして、企業委託を受けて従業員の子供の保育を行う「企業委託型保育サービス事業」、
保護者の勤務のつごうで、病気になった子供への対応ができない場合の受け皿となる「病児デイケアパイロット事業」、
育児不安などを持つ母親への負担を解消するための「乳幼児健全発達支援相談指導事業」
などがあり、これら乳児保育のニーズに対する公的サービスとしての乳児院の対応が求められている。
乳児院の施設数
2003年、全国で施設数115ヶ所、入所定員3671人、在籍人員2840人となっている。
従事者は3485人、厚生労働省の資料『社会福祉施設等調査報告』によれば、年齢別入所児童数と構成割合は0歳1011人で34.4%、1歳1342人で45.6%、2歳532人で18.1%、3歳以上57人で1.9%。
最近の施設数に変化はなく、各施設による求人も現時点ではほとんどないため、就職もかなりむずかしいといえるのが現実だ。
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